劇団MAHOROBA+αは2008年7月に『劇団まほろば社中』で活動をしていたメンバーの一部にて再結成された社会人劇団です。
”真剣に妥協せず芝居を楽しむ”ことをモットーに、各人が心から芝居を楽しめる環境をお互いに作り、お客さまに楽しんでもらえる公演作りを心がけています。
公演は本公演(年1〜2回ペース/オリジナル戯曲)を中心に、Unit公演や番外公演を行う等、常に活動の幅を広げています。
迷信。
眠れないときは羊の数を数えるといい。
試したことのある人はどれだけいるのでしょうか。
何故羊なんでしょうか。
ふわふわだからでしょうか。
だったら綿飴でもいいと思いませんか。
綿飴が1本…綿飴が2本…綿飴が3本…
あぁ手がべたべたです。
これじゃあうまく眠れません。
やっぱり羊を数えることにしましょう。
羊が1匹…羊が2匹…羊が3匹…
あ、こけた。
うまく飛べない奴がいました。
後続の羊たちは止まれません。
どんどん玉突き事故のように白い塊が膨れ上がっていきます。
やっぱりうまく眠れません。
塊を分解してもう一度仕切りなおしてもらいました。
もちろん運動音痴な奴は除いて。
羊が1匹…羊が2匹…羊が3匹…
順調順調。
あれ、でも待てよ。
柵を飛び越えているということはこの羊たちは脱走しているのではないでしょうか。
こんなに羊が減っては牧場主が困ってしまう。
はやく眠らなきゃ。
だってもう羊が101匹…102匹…103匹…ダルメシアンを超えました。
焦れば焦るほど眠れません。
眠れないのは当然です。
実はこれ英語圏から来た迷信。
sleepとsheepをかけたダジャレなんです。
sheep…sheep…sheep…と唱えることにより、眠れ眠れ眠れと暗示をかけているのです。
だから日本語で羊を数えたところでなんら効果がないのでした。
しかし、その迷信が常識として存在する世界があったとしたら。
こうして羊の数を数えながら眠りにつく世界が生まれました。
昼は昼の神が統治する活動の時間。
夜は羊たちによって齎される睡眠の時間。
世界は平和でした。
でも夜通し飛び続けなければいけない羊たちに不満はないのでしょうか。
ではその隣に佇む羊飼いの青年は?
彼はたった一人で羊の番をしているのです。
元は昼の世界にいたのですが、たった一人で夜の世界に来たのです。
彼にだって大切な人がいたでしょう。
そう例えば、お転婆な幼馴染とか。
娘に甘い神様と、教育熱心な雲雀。
江戸っ子気質な雄羊と臆病な牧羊犬。
どこにでもいそうでどこにもいないキャラクターたちが縦横無尽に駆け回ります。
その舞台となるのは日暮里d倉庫。
広大な間口と奥行き、さらに天高4.7メートルを誇る本会場に、羊たちを囲う柵が張り巡らされます。
これはその柵を越えていく物語。
劇団MAHOROBA+αがお送りする眠りのファンタジー。
しかし上演中は決して眠らせません。
瞬きさえ惜しまれるような興奮を、皆様にお届けします。
夜明けが近い。
さぁ柵を越える準備を。